書籍紹介

庵堂三兄弟の聖職

庵堂三兄弟の聖職



真藤順丈の二冊目。。。


これは第十五回日本ホラー小説大賞で大賞を受賞した作品。。。いやこの人ホントすごいな。。。


この本読んで「遺工師」という職業があることを始めて知った、と書こうと思っていま5分前くらいにググッてみたら、


そんな職業存在しないことを知って大爆笑。。。なんだこの真藤順丈とかいう男、凄すぎる。。。


だってこれ読んだら誰だって「遺工師」っていう職業があって、


「ああ、遺工師について随分詳しく調べたんだな、もしかしたら実際に遺工師の職人にインタビューしたりしたのかな」って思うもん。。。


それだけ仕事の内容とか手順とか緻密かつ丁寧に書かれてたわけだし。。。


それが実はそんな職業存在してませんでしたって、もう笑うしかない。。。


なんだコイツ、スゴイヤバイ、最強の新人か。。。


これだけ自分で考えたオリジナルな設定を深く広く展開できるなんて、もしかしたらもうすでに天才作家の域に達してるんじゃないか>真藤順丈。。。








真藤順丈の新刊。。。奥附見ると初版3月25日。。。


とりあえず図書館で一番乗りしておいた。。。



「全ての雑誌は誰かのバイブル」



これは実に的を射た考え方であると思う。。。


確かに、赤ん坊を産んだばかりの母親にとって「ひよこクラブ」はバイブルだろうし、


結婚を考えているカップルにとっては「ゼクシィ」、将来ジャンプで描きたいと思ってる人は「ジャンプ」、


最近の若い女の子だったら色々派閥は分かれるけど


「ぷっちぐみ」「ラブベリー」「Ranzuki」「小悪魔ageha」「ノンノ」「CanCam」……etc



ってことで、この本は、そんな誰かのバイブルになっている雑誌から、


その雑誌を象徴する人物――ジャンプで言えば尾田か秋本、CanCamで言えばエビちゃんとかそういう人――である“キリスト候補”を集めて一つの雑誌にまとめて世界一売れる新しい聖書、


つまりは『バイブルDX』を作ってしまおうという話。。。



一冊前でもう褒めすぎたから、特に褒めることはしないけど、


前半バカバカしい感じなのに、後半からシリアスになるのは、メディアファクトリーでの刊行一冊目の「地図男」と似たものを感じる。。。




ああ、これであと真藤順丈小学館から出てる「RANK」だけだな。。。もう半分ぐらい読み終わってるけど。。。





七回死んだ男 (講談社文庫)

七回死んだ男 (講談社文庫)




これだよ、こーゆーのが今書きたいんだよ。。。


時間ループと殺人。。。


特に時間ループの部分ね。。。




読み終わった後、これだけ素直に「なんだこれ、面白れー!」と思えた作品は久しぶりだなー。。。


中身とかは書き始めたらその他色々書きたくなって長くなるだろうから+もうめんどくさいで、書かないけど、


これは自信を持って他人に面白いと薦められる作品。。。


文章も一人称で軽快な語り口――最近のトレンドで言えば阿良々木くんスタイルとでも言おうか――だから活字ダリーの人でも読みやすい!


本屋か図書館で見つけたときは是非是非。。。






うーん、SFの設定が自由に決められるというのは、スゴイ魅力的なことなんだなー。。。





奇界遺産

奇界遺産



奇界遺産。。。


解釈としては、


“世界の奇妙な遺産”ではなく、この奇妙なものが存在する世界がすでに奇妙である、


つまり“奇妙な世界の遺産”――「奇界遺産」であると、著者がそう言ってた。。。


この奇妙な世界には様々な遺産がある。。。


遺跡とか寺院とか博物館とか大仏とかUFOとか宇宙人とかオーパーツとか地上絵とか遊園地とか檳榔とかシャレコウベとかサイババとかイエティとか


錆びない鉄柱とか忍者学校とかエロ土器とか……


この本はそんな奇態奇矯奇傑奇習奇怪を世界中から集めた写真集。。。


まあ世界中つっても、タイ台湾中国ベトナムインドで全体の六割を占めてるんだけど。。。


写真だけじゃなくてそれぞれの遺産に解説がついてるから、結構勉強になったりもした。。。


一番印象にあるのは「ブータンに伝わる魔除けの男根」


どの家の壁にも男根を模した絵が描かれてて滑稽だった。。。


ちなみに表紙に載ってるガンモドキの親玉みたいな顔したジジイはベトナムの初代国王ラック・ロン・クアンで、


その高さは約70m。。。広さ106ヘクタール世界最強のテーマパーク、ベトナムの「スイ・ティエン公園」に聳え立っているらしい。。。


これ106ヘクタールってのがどのくらい広いのかってーと、ディズニーランドとシー合わせて100ヘクタールくらいだから、


そりゃもう半端ない。。。


そのほか鰐釣りが出来る場所も園内には存在するんだって。。。


もはや公園じゃねぇw






この本に載っている場所、一つで良いから死ぬまでに行ってみたいなー。。。






RANK

RANK




追加、4月28日


真藤順丈もとうとうラスト。。。


第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞「RANK」



舞台は、人間の行動全てが監視され、数値化され、評価されようになった近未来の関東地方。。。


評価の基準は、真。善。美。つまり『良識』と『健全な精神』と『美しさ』。。。


それにより国民一人一人が5位とか10万200位とか1300万296位とか明確な数値でRANK付けされる。。。


そして、これはそんな関東地方で働く特別執行官――数値化されたRANKが1億171万6千位〜1億171万7千位の人間、


通称:一般圏外または執行該当者、を抹殺する為に国が作った殺し屋みたいなもん――たちの運命の交錯(なんて都合のいい言葉だ)を描いた物語。。。


設定だけ聞くとちょい山田悠介を髣髴とさせるけど、設定だけで終わらないのが真藤順丈。。。


ああ、髣髴とさせると言えば、これ、


最近「バクマン」に出てきた『この世は金知恵見た目』に結構似た話かもしれない。。。


あれも明確にRANKが数値化されるって言ってたし。。。


ただKTMの場合、


少年漫画だからか“知識とか容姿の売買”っていうちょっとゲーム的要素を取り込んでるけど。。。


まあ存在もしない漫画についての言及も早々。。。


いやはや、相変わらずこの真藤順丈という男は何者だよとツッコミをいれたくなる。。。


この物語はまるで、著者本人がこの「RANK」の世界で長年暮らしてきたような、


思わずそう疑ってしまうほどの圧倒的リアリティを孕んで描かれている。。。


RANKに対する国民の考え方とか、“そういう人間が現れてもおかしくない”状況とか、


本当にこの世界は物語なのかと思わず問いかけたくなってしまう、そんな妙な生々しさを終始感じながらの読了だった。。。


うーん、実に見事な筆力だなー。。。





これからも真藤順丈は注目して、新刊が出たらなるべく早く読むようにしようと思う。。。