渡辺航
先週発売のチャンピオンに載っていた弱虫ペダルは、その作品の面白さというよりも、渡辺航という漫画家の実力を垣間見た話だった。
弱虫ペダルという作品のみを読んでの評価だけど、渡辺航という漫画家は、細かい理屈なんかを考えてストーリーを進めるのが、基本的にあまり得意ではないように思われる。
どちらかと言えば――いや、言わなくても分かるが――その場の盛り上がりや激熱の雰囲気を重視して物語を展開していく、いわば話の見せ方で読者を魅せるタイプの漫画家であると考えていいだろう。
その証拠に、二日目の冒頭『RIDE.115 沈む、田所』の回で、体調不良で出遅れた田所先輩を助けに行くと言った坂道に対して、巻島先輩が「この先におまえが挽回できるような“登り”はねぇ……!!」とクールに言い放ったのにもかかわらず、
その十何週か後『RIDE.130 後半戦』で、同じ巻島先輩が「2日目 後半戦 ゴールまでの残り40Kmは 富士山の西側139号をひたすら走るゆるやかな登りだ!!」などと、どや顔で言っていたりする。正直唖然としてしまった。何言ってんの巻ちゃん!!と11巻の尽八の気持ちになってしまった。
他にもある。
二日目のゴール前、総北高校が先行する京都伏見と箱根学園に追いついたシーン。この回だけを見れば、ゴール前6Kmでようやく主人公の高校が復活し勝負に絡み始める激熱の展開、と言えなくもないのだが、
一つ二つ前の話も考慮に入れて冷静に分析をしてみると、総北高校は6人全員が揃ってから、前を走る二校に追いつくまで、なんと時速120Km(ペダルスレ出)の速度でロード自転車を走らせていた計算になるのだ(ペダルスレ出)
もうこれはホシ持っとるとかそういうレベルではない。待宮くんマジ噛ませだ。
見ての通り、前者は主人公坂道を通して読者に衝撃的な絶望を与えたい故に描かれたのであり、また後者は勝負(試合)終了ギリギリで主人公(チーム)が復活するというスポーツ漫画における熱い王道的展開を見せたいが故である。
そう、与えたいが故に、見せたいが故に、この作者は理屈なんかを一切抜きにして話を考えているのだ。(まあ前者はもはや理屈というか、何も考えていないだけのような気もするけど)
しかし、弱虫ペダルは面白い。
普通、ここまで理屈無視で話を広げてしまうと、どんなに熱い展開を描こうが読者はシラケてしまうものだろう。
けど、弱虫ペダルはシラケない。
与え方が、見せ方が激巧いから、いやこの場合は、激熱いから、と言ったほうが良いか。
その熱さに魅せられた読者の前では理屈がどうとか、シラケた気分がどうとかは、全て灰燼に等しいのだ(キリッ←保険 でも上手いこと言った)
そして本題、先週の回「RIDE.160 来ない男」
よくもまぁ、2年前、単行本8巻で黒田先輩と争って以来、先週まで指折り数えるほどしかセリフも出番もなかった、
真波山岳を、
ここまでラスボスの風格を湛えて描けるもんだと、本当に鳥肌が立ってしまった。
確かに山岳は、主人公坂道のライバル、という今まで空気だったのが不思議なほど恵まれた位置にいるキャラクターである。
どこかで必ず活躍することは、おそらく大半の読者が予想していたことだ。
でも、それでも、わずか一週、いや御堂筋の復活も描いてるから、わずか十数コマか、たったそれだけの描写で、
主人公のライバルに相応しい威厳、御堂筋をも超える強者のオーラ、そして最終決戦への期待、これらの色々な事柄を読者に刻み付けること出来るのは、
渡辺航という漫画家の成せる、魅せ方の妙と言えるだろう。
自分を含めた読者はおそらく心配していたと思う。「一日目と二日目でここまで完全燃焼しちゃって、もう三日目やることなくね?」と。
そこで三日目スタート前に急遽登場した広島呉南工業の皆さん。自称ホシを持っとる男、待宮くん。
これがまた、分かりやすいテコ入れってか、見てくれがどう見ても噛ませ犬です、以下感謝レベルで不安しか沸いてこないときたもんで、何とか二週かけてキャラ付けをするも、
読者はやっぱり「なんだかビミョー(ペダルスレ出)」
で、そんなアンイージーな流れの中、先週の御堂筋復活と山岳覚醒。
一瞬にして読者の間に沸き立つ三日目への期待感(ペダルスレ出)。
そして蔓延する「呉南工業とは一体なんだったのか(ペダルスレ出)」という空気。
この行き当たりばったりの、けどそれを飲み込むほどの熱い展開描写、もうさすが渡辺航としか言いようがない。
三日目は山岳と御堂筋の絡みに期待しつつ、坂道さんとの勝負の行方、そしてまあ悪どい見せ場があるだろう“持っとる男”の活躍(運?)に注目したい。
ということで以上、改行抜きで1605文字、400字詰め原稿用紙約4枚分でした。。。
そもそもコレの最初は、自分がツイッターを始めるとしたら何をつぶやくのだろうから始まって、
まあ『ワンピおもしれー』とか週刊漫画の感想だろうなという結論を出して、
じゃあちょっと練習してみようという流れで、
上のようなニュアンスの文章をツイッターにつぶやく気持ちで140字以内に抑えようと思ったら、
考えている内にどんどん広がっていっていつの間にか十倍以上の文章量になっていたという経緯なワケで。。。
しかしツイッターにつぶやくなら17文目、『そして本題……』からでもいい気がするな。。。
いやいや、それじゃあいくらなんでも文章が自己完結過ぎるか。。。
ツイッターみたいな他人ありきのツールに書くなら、せめてペダル読者完結ぐらいまで文章を広げないとあまり意味がない気もするし。。。
それ以前に17文目から最後までが389文字で、規定の倍超えちゃってるんだけど。。。
140字って少ないなー。。。
おお、てかツイッターって実はかなり矛盾した情報公開ツールであることにいま気がついた。。。
それについて、またなんか暇な文章を考えてみよー。。。