書籍紹介



ぼくらのひみつ (想像力の文学)

ぼくらのひみつ (想像力の文学)




2001年10月12日金曜日午前11時31分の世界に取り残されたぼく。。。


そんなぼくの背負う正体不明の麻袋は、カポーティの「冷血」の文章に反応してもぞもぞと動き出す。。。


そしてセックスをこよなく愛する女、京野今日子。。。


一瞬、春樹の短編か!とツッコミたくなるけど、春樹の場合短編の登場人物には名前付けないし、付けるとしても渡辺昇くらいか。。。


全ての誕生は想像より開始するとかそんな感じのことが書かれてたんだと思う。。。想像力の文学だし。。。






A型自分の説明書

A型自分の説明書


O型自分の説明書

O型自分の説明書




ちょっとしたワケがあって、古本市場にて100円で。。。




うわーすげー、バーナム様様だー。。。


カイジ風に言えば、「バーナム!バーナム!バーナム!バーナム!圧倒的バーナム!」だー。。。


説明を箇条書きで載せてんのがタヌキだよなー。。。


次々に情報が提示されるから、時々登場する当てはまんない事柄なんてすぐ忘れちゃうだろうし。。。


また定価が一冊1050円ってのもとんだ食わせ者。。。


メインのターゲット層である女子高生と独身OLに、自分の血液型の本しか買わせないようにするスンポー。。。


だって金のない女子高生が1050円も多く払って他の血液型の本を買うわけないもん、


独身OLだって、お金はあるけど自分以外の買ってどうすんの一緒に見る男もいないのに、って虚しさが先行するはずだもん。。。


定価1050円はバーナムの良い目くらましになってるんだ。。。


しかしボクにその手は通用しない。。。


A型とO型を買ったボクには。。。


案の定、どっちの本も思わずブックオフの買い取りカウンターに叩き付けたくなるくらい当てはまってた。。。






梶井照陰写真集『NAMI』

梶井照陰写真集『NAMI』




波って自分的に砂漠と同じイメージなんだよなー。。。


不規則なさざなみの中にも規則性を見出すみたいなー。。。


あと波紋が顔に見える写真があった、人面波紋。。。


先の地震でも分かったとおり、波はいろんなもんをさらってく。。。


人とか、メガネとか、最近ではハム太郎とか。。。



奴等ハムスターも、もう、『くしくし、へけ!』をしている場合ではないのである。。。






天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)




たいぞうnotやすみーのSF短編。。。


やっぱりSFってのは宇宙と時間とロボットだよ! ビバ軌道エレベーター! ビバタイムパラドックス! ビバロボ工三原則!


その中でも、今作は特に宇宙分野、素手での戦いに誇りを持つイジュギダ人が地球人の“卑劣な戦い方”に翻弄される様を描いた、


「三00万」が、面白かった。。。人間の底すらない悪意+勝つために戦っているという御堂筋くん論を見ているようで。。。


くだらねぇ誇りや矜持なんかは死を招く原因になるっていうのは、漫画でよく言われることだよね。。。


あと「性交体験者」で女が男を食べて性的快感を得るって話聞いて、


レベルEに雄が雌を食べて体内受精する宇宙人がいた事を思い出したけど、あんま脈絡ないな。。。


どうでもいいことだけど、SF作家のホームページって名前がカッコいいな、不確定領域とか第弐位相とか、


なんかエターナルフォースブリザードみたいだ。。。






先生の隠しごと―僕僕先生

先生の隠しごと―僕僕先生




「先生の隠しごと」というタイトルとあらすじから、濃厚な寝取られ展開を期待したのになー、肩透かしかよー、


という冗談はまあ置いといて、僕僕先生シリーズの最新作。。。


あー、放浪系ファンタジーではよくある国だなーこーゆーの。。。


すげー優しくて国民からの好感度MAXの王様がいて、納税も奴隷も法律も何も無い自由の国。。。


けれど、その裏にはどす黒い闇があって、着る衣服に関してさえ、唯一絶対である王様の命令に背いたものには裏で厳しい罰が下るっていう、


いわば自由のための不自由って話。。。


『お前のような者をラクシアに置いていては、国が濁る。人が心より天然自然の自由を楽しめるためには、一点の濁りがあってもならん。即刻国を去れ』


ってな感じで。。。


国民の 笑顔の下に恐怖あり 的な、テラーアンダースマイル、この国は何かおかしい――。。。


またその罰を与える役を、礼儀正しい王様の右腕が担っているあたりもテンプレ通り。。。



劉欣『黄銅革もそれで殺したな』


灰雲樹(右腕)『見ていたのですか。気づかなかったなぁ』



ただ、よくある物語と少し違うのは、王様本人が志を持って、本当に国をより良いものにしようと思い、そういう厳罰を肯定しているという点かなー。。。


今回、僕僕先生がその国の王ラクスの妻になるというプチ寝取られ展開を演じたのも、その志に、“王弁も知らない”先生自らの過去を重ね合わせたからに他ならないわけだし。。。


故にタイトルが「先生の隠しごと」だと。。。



にしても、劉欣いいなー。。。


劉欣が出ると、描写が一気にバトル漫画っぽくなるのがいいなー。。。


作者的に、殺し屋なんだからどんどん戦わせないとね、って事なんだろうなー、てか他に戦えるやつもいないしな。。。



前巻の「さびしい女神」といい今回といい、僕僕先生の過去が俄かに明かされ始めてきたってことで、


次か、その次くらいに一巻丸々使って過去話やりそうだなー、題して「神々の大戦」ご期待ください!って按配で。。。






畦と銃

畦と銃




あぁ、これ読んで気づいた。


真藤順丈は今日本で一番おもしろい小説を書く作家である』というボクの再三の主張は、


決して間違いなんかじゃなかったんだということに。


窓の外の暗闇が徐々に晴れゆく明け方午前四時にこの本を読み終えた瞬間、ボクを襲ったのはとんでもない浮遊感だ。


ボクは本当に極稀に、小説や漫画を読んだ後、何か得体の知れないものに包まれてフワフワと浮き足立つような感覚に陥ることがある。


やけに意識はハッキリしているのに、ふわーと体が軽く、思わずその場で笑い出してしまいたくなるような、


そんな感覚に、ボクは、この本を読んで、陥ってしまった。






この作品「畦と銃」は表題作を含めた全三部から成る第一次産業小説だ。


もっと簡単に言っちまえば、舞台であるミナギ村の、のっぴきならねぇ叙事詩みてぇなもんだ。




文体とリアル




表題作である「畦と銃」を読んで、ボクのような都会人が農業に対して抱く憧憬の念は、跡形もなく粉々に砕け散ってしまったと言って良いだろう。


この話の中には、午前十時に茶しばいて菓子つまんでるヨボヨボのじいさんばあさんなんざぁ、一切登場しない。


登場するのは、鍬と鋤で一揆を起こし、田んぼで大型拳銃であるコルトガバメントをぶっ放す、豪傑のような男共だ。


今回、そのことを象徴とする最も大きな要因が、主人公大助が紡ぎだす語りであり、その“文体”である。。。


難しい専門用語に特殊な擬音感覚、荒々しい方言で綴られる地の文には、農業に従事する野生の男共の疾走感溢れるビートを感じずにはいられない。



思えば真藤順丈の書くエンタメ小説はいつも文体を手放さなかったな。


デビュー作の「地図男」から始まり、今現在トリッパーで連載している「ゴッドブレス」または、別冊文藝春秋の「黄昏旅団」まで、確かに、彼の文体は常に一筋縄ではいかないものだった。


『文体は、物語と同じくらい大事なものだっていう大前提が、僕の中にはあるんですよ。』(ダ・ヴィンチ9月号インタビュー)


本人がこう語るとおり、真藤順丈真藤順丈足らしめているのはそのクセのある文体なのであり、今作「畦と銃」は、その証明の集大成と呼べる作品だったであろう。






真藤順丈を語る上でもう一つ忘れてはならないのは、そう、“リアル”だ。


真藤順丈は、自らの紡ぎだす作品の中で常にリアルを描いてきた。


それも、ただのリアルではない、“架空のリアル”だ。


ポプラ社小説大賞特別賞を受賞した「RANK」では国民一人一人がランク付けされた関東を舞台に、架空の世界のリアルを描き、


日本ホラー小説大賞を受賞した「庵堂三兄弟の聖職」では遺工師という架空の職業を、


また、現在トリッパーで連載されている「ゴッドブレス」ではアマラという、架空の病気のリアルをそれぞれ書いている。


しかし、今回は第一次産業、これは現実だ。現実のリアルだ。


作家が現実のリアルを物語にしようとしたき、最も重要なこと、それは綿密に綿密を重ねた現地取材であろう。


事実彼は、プロットを作る前に担当編集と様々な産業を取材しに行った、とダ・ヴィンチのインタビューで語っている。


その甲斐あってか、確かに作中では、農業や林業の作業工程が、詳細と言っても差し支えないくらいしっかりと描かれているのだが、


今回「畦と銃」という作品にボクが見たリアルは、そんな調べれば誰でも書ける説明書どおりの具体例なんかでは全く無い。


ボクが見たリアル、それは、音だ。音景だ。サウンドスケープだ。ロックンロールだ、クラシックだ。


表題作の主人公大助が装着する補聴器とヘッドフォンの狭間から浸み込んでくる、土の鼓動、泥のささやき、農村の音色であり、


第二部「第二次間伐戦争」に登場するウッドマン達が激奏する、山のロックンロールだ。


それだけではない、第三部「ガウチョ防衛線」で牧場を守ろうと結託する子供達の、完璧に指揮された狂騒曲にも、


ボクは確かにリアルを感じることが出来た。


そう、この作品のリアルとは、音楽なのだ。



そのことに気づいたとき、ボクは読み終えた瞬間我が身に訪れた心地良い浮遊感の出所を、つかむことが出来たような気がした。


そうか、ボクはとびきり上質な音楽を聴いていたんだと。。。


今まで架空のリアルを圧倒的な筆力で描いてきた真藤順丈が、現実のリアルをまさかこのような形で読者に魅せてくるとは、ある意味、


彼の新境地と言えるのではないだろうか。


そして、集大成と新境地が揃った今作「畦と銃」は間違いなく、真藤順丈最高傑作であり、


近年のエンタメ小説では類を見ないほどの名作であると、ボクはこの場で声高々に主張する所存である。






テレビは見てはいけない (PHP新書)

テレビは見てはいけない (PHP新書)




テレビは最強の洗脳装置だ! みんな騙されちゃいけねぇ! この本を読んで解き放てウォンチューな自分! ビバ脱洗脳!


ってことが主に言いたいこととして書かれてたんだけど、


“脱洗脳”という“洗脳”もあるわけで。。。


深淵を覗き込む時なんちゃら ばいにーちぇ なわけで。。。


そんなこといちいち言われんでも自分で取捨選択できるわ、って人からしたら、件のフジテレビデモも洗脳(深遠)にしか見えないわけで。。。


ひっ、でもこれじゃ深遠(デモ)を覗き込んだ自分もまた深遠になってしまうじゃないか。。。


で、深遠となった自分をまただれか別の人が見て……うわー、これが噂の深遠スパイラルだー、こ、このままじゃ世界が闇に――。。。


と絶望しかけたとき、ボクの頭の中に一筋光明が差し込んだ。。。


そうだ! アニメだ! 日本のテレビにはアニメがあるじゃないか!


14年前(!)のポリゴンショック以来「部屋を明るくしてテレビから離れてみてね」のテロップが必ず表示されるようになった日本の一大産業、ジャパニメーションが!


日本のみんなが部屋を明るくしてアニメを見れば必ず深遠は晴れる! やったね!


ということで、ボクもみんなも、もっと部屋を明るくして日本のアニメを見よう、世界が闇に包まれてしまうその前に――。。。




※注:「サイゾー」は美容院で渡されると、とても恥ずかしい雑誌です。。。